スイスとガーナが認可した次世代調理ストーブ緩和策

活動は「パリ協定6条2項」に基づいて認可され、Envirofit、 KliK Foundation、ACT、そしてスイスとガーナ両国政府の緊密なパートナーシップを通じて開発されました。

チューリッヒ、2024年2月29日――ガーナとスイスが新たな緩和活動を認可しました。これは温室効果ガスの排出量を大幅に削減すると同時に、国連の「持続可能な開発の目標(SDGs)」にも貢献します。この「ガーナ農村部における変換型調理ストーブ活動」は、ACT GroupとEnvirofitによって共同開発され、Foundation for Climate Protection and Carbon Offset KliKにサポートされています。「パリ協定6条2項」に基づいてスイスがガーナで認可した3番目の活動であり、調理ストーブ活動で初めて正式に認可されました。その結果生み出される「国際的に移転される緩和成果(ITMOs)」を購入することで、KliK Foundationはこの緩和活動を財政的に実行可能にします。

この温室効果ガス緩和活動は180,000台の「改良型調理ストーブ(ICS)」を使用し、推計75万人のガーナ国民の暮らしを改善すると見積もられています。このICSテクノロジーは、個々の世帯の煙と有害物質の排出量を80%も削減するとともに、調理用の燃料費も60%も削減します。ガーナでは大気の質に由来する死者が毎年10,000 人も出ています。

180,000台のICSには炭素金融による補助金が出るため、原価を下回る価格で、ガーナの農村部と都市近郊地方の小規模農家に販売されます。ICSの生産と配布を行うための前払金がBIX Capital と Spark+ Africa Fundから提供され、これと並行して、既存のVillage Loan and Savings Associations (VSLA) を通じて提供されるリボ払いの消費者信用基金も用意されます。このように製品が「承認」されたことで導入・利用率が上がるものと予想され、地元に販路を作るのを後押しし、起業家に意欲を与え、持続可能な市場を創るのに役立ちます。調理ストーブの効率性に脚光を当てる製品のデモンストレーションを組み合わせれば、燃料消費削減の経済的利益を強調できます。調理ストーブの各モデルは地元でEnvirofit Ghanaが生産しており、バリューチェーン全体で300人分近い新規雇用の創出を推進しています。

ガーナ政府は改良型調理ストーブを用いた活動を炭素市場のホワイトリストに含め、「パリ協定」に基づく無条件の「国が決定する貢献(NDC)」のもとで、調理ストーブ活動を政府が実施する追加の対策として認めています。加えて、この温室効果ガス緩和活動は、Envirofitが新たに開発した最先端の利用法・性能モニタリング戦略を通じて、クレジットの限度額超過というリスクを予防できるよう注意深く設計されています。ストーブの利用法と燃料の節約をモニタリングするため、カスタム仕様の包括的な方法論を用いて、業界平均よりも高頻度なサーベイと調理性能テストが行われる予定です。またデジタルなモニタリングと検証技術を活用して、熱センサーでストーブの利用法を確認します。この活動には、排出削減措置の主要な測定基準である「非再生可能バイオマス(fNRB)」を少量でも測定できる慎重なアプローチが必要です。活動の測定は、 30% fNRBという初期設定を利用して行われます。この設定は以下の場合に変更できます: i) 地域の最新の数値を入手でき、かつ ii)両国が変更に合意する場合。当プロジェクトの記録はこちらで閲覧できます(Registered compensation projects abroad (admin.ch))。

「初めての調理ストーブ活動が認可されたことは、参加した全ての当事者と「6条」の市場にとって、マイルストーンになります」と、KliK Foundationの炭素調達ディレクターを務める Yannick Träris-Kahrimanは述べています。「ITMOsの購入を通じてこの高品質な製品を販売できることを誇りに思います。今後数年間で導入が進むものと期待しています。」

「『ガーナ農村部における変換型調理ストーブ活動』が認可されたことは、ACT Group、Envirofit、KliK Foundation、プロジェクトの財務担当者、そしてガーナとスイス両国政府の協調的な努力における重要なマイルストーンです」とACT GroupでEUのエネルギー・炭素市場戦略担当マネージャーを務めるDaniel de Vriesはコメントしました。「全てのパートナーの野心と献身と柔軟性のおかげで、この緩和活動は調理ストーブを用いる緩和活動の基準を引き上げ、クリーン調理ソリューションを前進させています。」

「当プログラムは、Envirofitが経験してきた製品・炭素プログラム開発の頂点です。15年にわたる高品質で顧客中心の製品の設計に、現実世界のデータに裏打ちされた堅牢な炭素プログラムの開発を組み合わせて、最高品質の ITMOクレジットを実現しました。その一方で、現地で起業家精神を育み、ガーナ人75万人に持続可能な恩恵を届けています」と、Envirofitのプレジデント兼COOを務めるTim Bauerは強調しました。「森林破壊を減らし、ガーナの気候を改善すれば、さらに数百万人に恩恵が及びます。Envirofitはガーナで当イニシアチブに関わるパートナーたちを、この上なく誇らしく思っています。」

博士ガーナの炭素市場オフィスのトップを務めるDaniel Tutu Benefoh博士は、次のようにコメントしています。「当プロジェクトはガーナとスイス両国内の専門家作業グループから重要な情報をいただき、目的に合わせて設計されました。「ガーナで開かれた最初の技術ミーティングから、プロジェクトの検証に至るまで、プロジェクトチームは全ての利害関係者を継続的に関与させ、協働することで、クレジットの既存の方法論を上回るプログラムを確実に完成させました。モニタリングとトラッキングに関するイノベーションも複数含まれており、『クラス最高の』プログラムに仕上がっています。」

ガーナとスイスは「パリ協定6条2項」で言及されている協調的なアプローチに従って協働し、2020年11月24日にグラスゴーで開かれたCOP26で2国間の気候合意に署名しました。この合意は、「6条2項」に基づいて2ヵ国の協調を規定し、温室効果ガス緩和活動を実施するための法的枠組みを確立するものです。当合意により、緩和活動は品質、環境統合性、SDGs、人権の最高基準を確実に満たせます。 

ガーナが自国のNDCに当緩和プロジェクトを加えると確認したことと、付随する修正を自国の排出量レジストリに行うと合意したことが、両国による当緩和活動認可の基礎になっています [31 January 2024].。ACT Groupはこの「緩和活動計画文書」および必要な全ての証拠書類を実際に使用して、当プロジェクトを財政的に実行可能にするためには炭素収入から追加資金を調達する必要がある、とガーナとスイスの当局に説明しました。 

KliK Foundationの財政支援によって達成されたITMOsは、2国間の気候合意に従って移転され、「パリ協定」に基づくスイスの排出量削減目標を達成するために利用されます。 

KliK Foundationは、スイスの「CO2法」が要求する自動車燃料輸入業者たちの法的義務を遂行しており、スイスの輸送部門からの炭素排出量の一部をオフセットしています。KliK Foundationはこの目的のために「パリ協定6条2項」に従って、国内だけでなく国際的な気候保護プロジェクトも支援・組織しています。緩和活動の結果もたらされる ITMOsの購入を通じて、気候に優しいテクノロジーとイノベーションを配備する資金を提供しています。

もっと詳しく知る

Envirofitは認証済みのB Corp Social Benefits Corporationで、「10億人の潜在購買者」のクリーンエネルギーへのアクセスを改善することに専念しています。2009年以来、Envirofit は(投資家たちとともに)「クリーン開発メカニズム(CDM)」のもとで、クリーン調理テクノロジーの広範囲な採用を動機づけるため、将来のカーボンオフセットを利用して先行投資の補助金を予め調達する、というコンセプトを開発してまいりました――Envirofitがこれを行わなければ、この顧客セグメントには手が届かなかったことでしょう。Envirofitは薪・石炭・LPGを用いる顧客に焦点を合わせたソリューションを商業化しました。市場内に10あまりの工場を建設し、数百の販路を開拓してきたEnvirofitは、クリーン調理セクターと炭素金融セクターの役に立っています。その結果、4,500万トン以上の温室効果ガスの削減と、100億USドルを超える社会経済的な共同利益を実現しています。

もっと詳しく知る