ACTのリニューアブルストラテジストを務めるZuzana Vrbovaが、EUの政策変更を紹介します
ドイツとフランスで電力価格が最高値を記録したと報道されました。1年後の先物取引の契約は、ドイツで1メガワット(MWh)当たり€995、フランスで€1,100/MWhです。それにひきかえ昨年は、両国とも €85でした。価格急騰の理由は、やはりロシアが供給を削減したためです。欧州は他国から電力を調達する必要がありますが、欧州大陸の洪水が水力発電量を低下させ、石炭の供給を妨げたうえ、フランスの原発の修理も遅らせています。欧州委員会のUrsula von der Leyen委員長は、ガス価格と電力価格を分離して欧州のエネルギーコストを引き下げるツールをEUが導入する、と発表しました。それに反応して、火曜日にエネルギー価格が急落しました。その背景にあるのは、同委員会がこの危機を緩和する取り組みを強化してゆく兆候がある、という状況です。
なぜ電力とガスの価格がリンクしているのですか?
現在、EUの電力卸売価格は、全体の需要を満たす最後の発電所の価格によって決まる仕組みになっています。これらのいわゆる最後の発電所が全体の電力価格を決めることが多く、通常はガスが燃料です。一部の国々、特にスペインでは、安価な再生可能エネルギーとより高コストな化石燃料ベースの電力が同じ価格で販売されているという矛盾が指摘されています。
どんな政策提案が議論されているのですか?
スペインは自国の方策をEU全体に適用することを提案しています。7月中旬以来、スペインとポルトガル両国ではプライスキャップ制度(上限価格方式)が配備されています。発電に使われるガスの上限価格は、スペインの規制当局によって€40/MWhと決められています。6ヶ月後、このプライスキャップは毎月1MWhにつき5ユーロずつ上昇し、最終的に1MWh当たり70ユーロになります。この上限と実際の市場価格に開きがある場合、国が発電所に返金することになります。イタリアのMario Draghi首相が提案した選択肢は、ロシアから輸入するガス価格の上限を設定することにEU諸国が合意する、というものでした。批評家らは、それを行うとロシアが欧州へのガス供給を完全に遮断するリスクがある、と述べています。議論されているもう1つの選択肢は、ガス市場への金融投機筋の参加を制限するというものです。
EUはどのように介入するのですか?
Von der Leyenは、EUが緊急対策を準備していると発表しました。これは電力価格とガス価格を区別またはデカップリング(分離)を行うための暫定的な対策で、9月9日に行われる閣僚会議で議論されます。またEUは、より安価な再生可能エネルギーと関連づけて電力価格を決めることを目指す、より長期的なエネルギー市場の改革も準備中です。法律は2023年早期に発表される予定で、各選択肢の分析結果は10月に発表されます。ポーランドは 「排出量取引(ETS)」制度の延期を提案しました。しかしVon der Leyenは、ETSの電力価格への寄与は約6%にすぎないと述べて、これを却下しました。
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