「クリーン開発メカニズム(CDM)」に応答する「6条4項」の交渉
また「6条4項」のメカニズムについても、進展がありました。「6条4項」は温室効果ガスの排出量を自主的に軽減する、国連が承認した国際的なメカニズムで、CDMの後継になります。承認されたCDMプロジェクトとクレジット(認証排出量削減クレジット:CERs)は、「6条4項」の新たなメカニズムに移行できます。この新たなメカニズムでは、2種類の炭素クレジットが登場します:認定「6.4ERs」と緩和貢献「6.4ERs」。全世界の排出量の調節と緩和という目的のために、これらのクレジットのシェアが配分されることになります(「世界全体の排出削減(OMGE)」を通じて行われます)。認定「6.4ERs(=「6条4項」の排出量削減)」は ITMOsとして利用でき、他国への輸出を自国のNDCに適用するためにホスト国が認定します。緩和貢献「6.4ERs」はホスト国の国内で利用でき、自国のNDCに適用されます。例えば、国内のコンプライアンス炭素市場の範囲内などです。
これらのクレジットをトラッキングするため、集中型の「6条4項」レジストリが設けられます。これが ITMOsをトラッキングするレジストリと接続される可能性もあります。2023年11月にドバイでCOP28が開催されるまで期間が空くものの、その間に「6条4項」の開発を進めるための技術的セションが数回計画されています。これらのセッションで、「6条4項」のメカニズムに関する具体的なルールを決定することが期待されます。これらの意思決定には、どのタイプのプロジェクトが適格であるのか、どの方法論を利用できるのか、そして正確な登録手続きがどのようなものになるのかを含める必要があります。
全体的に、「6条2項」と「6条4項」に関して実現した進展は、炭素市場における環境保全を向上させるとともに、全世界で気候変動緩和の取り組み前進の気運が高まる前兆になりました。もちろん成功裏に実施するためには、各国で十分な能力構築を行う必要があるでしょう。特に開発途上では、各国が自信を持って参加できるようにするため、能力構築が必要になります。また民間部門も、「6条」に適合するプロジェクト開発を促進するうえで重要な役割を果たすことでしょう。