シンガポールの炭素税:最新情報、適格性基準&コンプライアンス

2019年1月1日付けで、シンガポールはCO₂ 換算1トンにつき $5 という炭素税を導入しました。これは東南アジア初の炭素価格設定スキームです。2022年3月、企業と個人によるカーボンフットプリントの削減を奨励する気候野心を強化するための一環として、炭素税を徐々に引き上げる、と政府が発表しました。炭素税は2024~2025年にかけて1トン当たり$25に、2026~2027年にかけて1トン当たり$45に引き上げられる予定で、2030年までに$50~$80に到達させることを目指しています[1]。

2024年から、企業は課税対象排出量の最大 5%をオフセットするために、高品質な国際カーボンクレジットを引き渡せるようになります。カーボンクレジットの適格性基準の詳細は、継続中の業界との協議を通じて作成している最中で、2023年[1]に披露されることになっています。2022年、このプロセスを導くために政府が「国際カーボンクレジット(ICC)フレームワーク」を導入しました。2023年10月4日、シンガポール政府は「ICCフレームワーク」に基づく「適格性基準」を発表しました。これは炭素税のために引き渡すことができる、許容可能な国際カーボンクレジットのリストです[2]。 

この増税が発表されて以来、企業はカーボンクレジットの適格性に関する政府の追加の指示を待ってきました。「適格性基準」には、高度な環境統合性を実証するために適格なカーボンクレジットが満たさなければならない、7つの原則が記載されています。企業は課税対象排出量の一部をオフセットするために、「適格性基準」を満たすクレジットを引き渡すことができます。また「パリ協定6条」と炭素市場双方の変化と確実に一致させるため、「適格性基準」の定期的なレビューも行われます。 

第1に、「適格性基準」は「国際航空のCO2排出量オフセット・削減枠組み(CORSIA)」の基準を引用しています。CORSIA基準とは、航空業界のために策定された炭素クレジットの基準で、同業界で最も厳しい基準だと広く考えられています。  排出量の削減や除去のクレジットもまた、この7原則を満たす必要が出てきます。7原則は、業界全体およびNGOの70人以上の利害関係者との協議を通じて策定されました。 

  

第2に、引き渡すクレジットは、2020年より後の排出量削減に対応するものにする必要があります。これが意味するのは、カーボンクレジット生成の対象になる排出量の削減や除去の活動は、2021年1月1日から2030年12月31日の間に行わなければならないということです。これはシンガポール初の「国が決定する貢献(NDC)」の期間と一致します[4]。  

  

加えて、炭素税のオフセットに適格な国際カーボンクレジットは、「パリ協定6条」に明記されたメカニズムを用いて相応に調整する必要があります。「6条」には、2国間や多国間の協定を通じ、二重計上を避けて、削減・除去した排出量を各国間で取引できる方法が明記されています。このことは、炭素プロジェクトのホスト国はカーボンクレジットを、自国の気候目標に加算するのではなくシンガポールの気候目標に加算する必要があることを意味します [4]。  今後は、「適格性基準」を守る適格なホスト国、カーボンクレジット・プログラム、方法論のリストが、今年末までに発表される予定です。 

シンガポールは「6条」に適合するカーボンクレジットに関して協力するために、ガーナおよびベトナムと「国際協定」を締結しました。また「実施協定」に向けた次の国々との「基本合意書」も存在しています:ブータン、カンボジア、チリ、コロンビア、ドミニカ共和国、インドネシア、ケニア、モンゴル、モロッコ、パプアニューギニア、ペルー、スリランカ。さらにシンガポールはブラジル、ブルネイ、タイとも積極的に話し合いをしています。カーボンクレジット・プログラムにはAmerican Carbon Registry、Architecture for REDD+ Transactions (ART)、Global Carbon Council、Gold Standard、Verra’s Verified Carbon Standardが含まれていました。方法論については、2023年末までにこれに関する詳しい情報を政府が開示する予定です。 

市場ベースのサステナビリティ・ソリューションの世界をリードするプロバイダーとして、ACTにはさまざまなコンプライアンス炭素市場に関する深い専門知識があるので、企業をナビゲートして義務を果たせるように導くことができます。専門家チームと、グローバルなクレジット調達およびプロジェクト開発の専門知識を有する当社は、お客様が優良企業を掲載したホワイトリストを検討し、シンガポール政府が明記した基準を満たすクレジットを調達する支援を行うことができます。  

  

ACTが御社のコンプライアンス義務をサポートする方法に関するご質問は、以下にお問い合わせください: https://www.actcommodities.com/contact 

  

出典: 

  

[1]炭素税(nccs.gov.sg) 

  

[2] シンガポールで炭素税の請求をオフセットするために利用されるカーボンクレジットは、特定の基準を満たさなければなりません:国家環境庁(NEA)| The Straits Times 

  

[3] Gold Standard は、カーボンクレジットに関するシンガポールと The Gold Standardの極めて重要なパートナーシップに署名します。 

  

[4] シンガポールとVerra が同国の炭素税をサポートする「基本合意書」に署名―― Verra